
▼「子どもが不登校になったら、高校進学はどうなるの?」
これは、多くの親御さんが抱える不安のひとつだと思います。
私自身も三姉妹を育てる中で、娘が不登校を経験しました。
当時は「勉強も嫌いだし、このまま進学できないのでは…」と大きな心配を抱えました。
でも実際には、不登校を経験した子どもの多くが高校進学しているというデータがあり、わが家の長女も進学の道を見つけることができました。
ここではまず、全国データから「不登校と高校進学」の現実を見ていきます。
1|全国データで見る不登校の現状と高校進学率
▼不登校の現状
文部科学省の調査によると、2022年度(令和4年度)に不登校となった小・中・高校の児童生徒は29万9,048人にのぼり、過去最多となりました。

<出典:文科省>
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/1302902.htm
▼各校種別
✅小学生:約1.7%
✅中学生:約6.0%
✅高校生:約2.0%
特に中学生の不登校率が高く、約16人に1人が不登校状態となっています。
▼高校進学率のデータ
「不登校だと高校に行けないのでは?」と不安に思う方も多いですが、実際のデータは少し違います。
文科省などの追跡調査によると、中学校で不登校を経験した生徒のうち、約85%が高校へ進学しています。
全国平均(97%以上)と比べるとやや低めではあるものの、8割以上の子どもが進学しているという事実は心強いポイントです。
データが示すこと
つまり、
- 不登校は決して珍しいことではなく、全国で数十万人が経験している
- 不登校を経ても、多くの子が高校進学の道を選んでいる
ということです。
「うちの子も進学できるのかな…」と不安になったときに、このデータを知るだけで少し気持ちがラクになる親御さんも多いのではないでしょうか。
▼普通科だけじゃない!専門学科や通信制の選択肢

不登校を経験した子どもの高校進学先は、必ずしも「全日制の普通科」だけではありません。実際には、さまざまな学びのスタイルが用意されています。
✅全日制・普通科高校
- 一般的に最も多い進学先。
- 出席日数や内申点が重視されやすいですが、学力試験の点数が中心で合否を決める学校もあります。
✅専門学科(情報科・商業科・工業科・福祉科など)
- 子どもの興味や得意分野を活かせるのが特徴。
- 「勉強嫌い」でも、自分の好きな分野に出会えればやる気につながるケースも多いです。
- わが家の長女も、この専門学科のひとつである「情報科」を選びました。
✅通信制高校
- 自宅学習が中心で、通学は月に数日〜週1回など。
- 出席日数がネックになりにくく、不登校経験者が最も選びやすい進路のひとつ。
- 最近は通信制でも進学実績や専門的なカリキュラムを整えている学校が増えています。
✅定時制高校
- 夜間や昼間など時間を選んで学べる。
- 少人数でゆったりとした学習ペースのため、生活リズムを立て直しながら通えるのがメリット。
💡このように、不登校を経験しても進学の選択肢は幅広く、「子どもに合った環境を見つけること」が何より大切です。
2|不登校からの進路選択で大切なこと
不登校を経験した子どもが高校進学を考えるとき、親や子どもが押さえておきたいポイントがあります。

▼内申点・出席日数がどう影響するか
- 一般的に、公立高校では 内申点と出席日数 が合否に影響することがあります。
- ただし最近は「不登校配慮入試」や「学力検査を重視する学校」も増えており、出席日数だけで進路が閉ざされるわけではありません。
- 例えば「学力試験の点数>内申点」で判定する私立高校や、公立でも調査書に『不登校の理由』を記入して配慮してくれるケースがあります。
▼学校・フリースクール・塾など活用できるサポート
- 学校の進路指導
担任や進路担当に早めに相談しておくと、出願できる高校や受験方式の情報を得やすい。 - フリースクールや教育支援センター
出席扱いになる場合もあり、生活リズムを整える場としても活用できます。 - 塾や通信教育
学習習慣を取り戻すきっかけになり、受験に必要な基礎学力の補強にも役立つ。
▼保護者が知っておきたい進路相談の流れ

- 中2〜中3の早めの時期に相談開始
不登校期間が長引いても進学を見据えたアドバイスを受けやすい。 - 出願条件の確認
「出席日数要件」や「面接重視」など、高校ごとに違いがあるため事前に調べる。 - 複数の選択肢を持つ
全日制だけでなく、通信制・定時制・専門学科などを含めて比較検討。 - 子どもの意思を尊重する
「親が安心できる進路」より「子どもが続けられる進路」を優先するのが成功のポイント。
💡 まとめ
不登校からの進路選択で大切なのは、
✅出席日数にとらわれすぎず、子どもに合った受験方式を探すこと
✅フリースクールや塾など外部の支援を上手に活用すること
✅高校ごとの特徴を比較しながら、子どもの希望を尊重すること
3|わが家のケース:長女の不登校気味と進学
▼英才教育から始まった子育て

長女が小さいころ、私は「勉強ができる子にしたい」という思いから、英才教育に力を入れていました。
そろばん・水泳・ピアノ・英語教材など、習い事や教材に毎月多くの時間とお金を注ぎ込みました。
その結果、小学校までは成績優秀で、通知表は「よくできる」ばかり。
「このまま順調にいくだろう」と信じていました。
▼中学で訪れた“クライシス”
しかし中学校に入ると状況は一変。
中1の1学期が一番成績が良く、その後は右肩下がり。
授業への意欲も薄れ、勉強嫌いが加速していきました。
さらに新しい環境で,精神的にも不安定になり、不登校気味の時期がありました。
朝起きられなかったり、学校に行く支度をしても途中で断念したり…。
親としては「優等生だった子が、どうしてここまで変わってしまったのか」と大きなショックを受けました。
▼進路に悩んだときの葛藤
「このまま高校に行けるのか?」
「普通科についていけるのか?」
親としては不安だらけでした。
でも、担任や進路指導の先生から「専門学科なら本人の興味を活かせるかもしれませんよ」とアドバイスをもらい、選択肢を広げていくことに。
▼情報科高校を選んだ理由
そんな中で出会ったのが「情報科」という専門学科。

(こんな感じで,学校にPCルームがあり,長女たちの学科だけが使用するそうです。贅沢・・・)
長女は小学生のころからパソコンやプログラミングに興味があり、「ここならやってみたい」と自分から言ったのです。
その結果、情報科高校(公立)に進学することができ、今では好きな分野に打ち込めるようになりました。
完全に勉強嫌いがなくなったわけではありませんが、「得意を活かせる居場所」を見つけたことで、不登校気味だった時期から一歩前に進むことができました。
💡 まとめ
✅小学校までは優等生 → 中学でつまずき、不登校気味に
✅普通科ではなく「情報科」という専門学科に進む道を選んだ
✅「不登校気味=進学できない」ではなく、子どもの強みを生かせる進路を探すことが大事
4|情報科高校の実際
▼情報科高校で学べる内容
情報科高校では、普通科に比べて コンピュータやネットワーク、プログラミング を中心に学ぶことができます。
- 基礎分野:Word、Excel、PowerPoint などのビジネスソフト
- 応用分野:プログラミング、Web制作、データベース
- 専門分野:情報セキュリティ、ネットワーク管理 など
普通科目(国語・数学・英語など)もありますが、時間割の中で情報科目が大きな割合を占めるのが特徴です。

👆カリキュラムはこんな感じです。
「普通科7割,情報科3割の学習です」と説明をうけたときは,
案外,情報は少ないんだなと感じましたが,実際はじまってみると,毎週がっつり「情報」の授業がありました。
▼勉強が苦手でも活躍できる可能性
情報科では、知識だけでなく 実技や作品制作 も評価対象になります。
そのため、テストの点数が苦手でも「パソコンを触るのが好き」「ものづくりが得意」という子が力を発揮しやすい環境です。
▼資格取得の機会が豊富
情報科の大きな魅力は、在学中にさまざまな資格に挑戦できる点です。
- 情報処理検定(1級〜中級まで挑戦可能)
- ITパスポート試験(国家資格)
- MOS(マイクロソフト オフィス スペシャリスト) など
これらの資格を取得しておくことで、将来の進路選択に有利になります。
▼進路の広がり
情報科高校を卒業した生徒は、以下のような道に進むケースが多くあります。
- IT関連企業や一般企業での就職
- 情報系の大学や専門学校への進学
- 資格を活かしてアルバイトや資格加点につなげる
▼わが家の場合
進学した高校は,「公立高校」。三姉妹いるので,私立じゃなくて,正直ほっとしてます。
長女も情報科に進学しましたが、資格取得に挑戦できる環境や、興味のある分野を学べる授業のおかげで前向きに学校へ通うことができています。
在住している都道府県では,この高校しか情報科学科はなくて,通学するためには,
✅自転車で40分
✅バス・電車を乗り継いで,さらに徒歩10分の1時間10分
という通学方法です。交通費がかかるので,もっぱら「電動アシスト自転車」で40分で通学しています。
不登校気味,しかも朝に弱い子なので,合格したけど,ちゃんと通学するかなと心配していましたが,
少々の雨でもカッパを着て通学するなど,たくましい姿をみることができました。
5|不登校と進学に悩む親御さんへ

▼親の理想と現実のギャップ
私は「いい子に育てたい」「勉強ができる子にしたい」と思っていました。
でも実際には、長女は中学でつまずき、不登校気味になり、成績も下がっていきました。
そこで気づいたのは、「親の理想」と「子どもの現実」は必ずしも一致しないということです。
▼子どもが自分で見つける道を信じる
不登校や勉強嫌いを経験しても、子どもは自分の興味や得意を見つけて進むことができます。
長女の場合は「情報分野」でした。
親が無理に方向を決めるより、子どもの「やってみたい」を応援することが何より大切だと学びました。
▼相談できる機関も活用を
悩んだときには、家庭だけで抱え込まずに相談できる場所があります。
✅学校(担任・進路指導)
✅教育委員会の教育相談窓口
✅フリースクールや教育支援センター
✅民間の学習支援やカウンセリング
不登校は家庭だけの問題ではなく、社会全体で支える仕組みがあります。
6|よくある質問(Q&A形式)
Q1. 不登校だと高校進学は難しい?
→ 難しいわけではありません。全国データでは約85%の子が進学しています。受験方式を工夫することで進路は開けます。
Q2. 出席日数が足りない場合はどうする?
→ 調査書に不登校の理由を記載して配慮する学校や、学力検査中心の入試を行う高校もあります。通信制や専門学科も選択肢になります。
Q3. 不登校から通信制や専門学科を選ぶメリットは?
→ 出席日数に柔軟で、自分のペースで学びやすいこと。専門学科なら興味を活かして得意を伸ばせます。
7|まとめ
不登校や勉強嫌いは、子どもの未来を閉ざすものではありません。
全国的にも多くの子が不登校を経験しながら、高校進学の道を選んでいます。
長女も中学でつまずき、不登校気味になった時期がありましたが、情報科高校に進学することで「自分のやりたいこと」を見つけることができました。
不登校でも未来は開ける。
子どもが自分のペースで見つけた道を信じて、親として寄り添っていくことが一番大切だと感じています。