「また一日中ゲームして…」「このままで大丈夫なのかな」

ゲームばっかりして、本当にこのままでいいのかな…。学校のこと考えると不安で、ゲームを取り上げた方がいいのかとも思うし。
不登校の子どもがゲームをしている姿を見て、そんなふうに感じたことはありませんか。私も最初はそうでした。学校に行けない日が続く中、娘がマインクラフト(マイクラ)をひたすらやり続けているのを見て、「取り上げるべきか」「時間制限を設けるべきか」と悩みました。
でも今は、ゲームを「やめさせなくてよかった」と思っています。それどころか、ゲームがわが家の親子関係を救ってくれた、とさえ感じています。

この記事では、不登校の子どものゲームとの向き合い方について、マイクラでエンドラ(エンダードラゴン)討伐を一緒に目指した実体験をもとに、正直にお伝えします。
不登校の子どもがゲームに向かう理由
まず知っておいてほしいのは、不登校の子どもがゲームに没頭するのには、それなりの理由があるということです。
学校という場所では、「できる・できない」が常に評価されます。勉強・体育・友達関係——あらゆる場面で「自分はダメだ」と感じさせられる経験が積み重なっています。学校に行けなくなる子どもは、多くの場合、すでに心がボロボロの状態です。
そんな子どもにとって、ゲームは数少ない「安心できる場所」です。
- 努力すれば確実に強くなれる
- 失敗してもやり直せる
- 「うまくなった」が目に見える形で分かる
- 誰かに評価されなくても、自分のペースで進められる

ゲームの世界は「失敗しても大丈夫」な場所なんです。現実で傷ついた心が、ゲームの中で少しずつ回復していく——そういうことが、実際に起きています。
「ゲームを取り上げる」が逆効果になる理由
「ゲームばかりしているから取り上げる」という対応は、一見正しそうに見えます。でも、不登校の子どもにとってこれは非常に危険な判断になることがあります。
理由はシンプルで、ゲームが「唯一の安心できる居場所」になっている子どもから、その居場所を奪ってしまうからです。
ゲームを取り上げた後に何が起きるかというと、子どもはただ「何もない空間」に放り出されます。学校にも行けない。ゲームもできない。友達とも会えない。——そういう状況は、子どもをさらに追い詰めます。

一度「今日は2時間だけ」って厳しくしたら、子どもの機嫌がすごく悪くなって、親子の会話がほぼゼロになってしまいました…。

うちも全く同じでした。ゲームをやめさせても、学校に行けるようになったわけじゃなかった。むしろ関係が悪化しただけで。
その経験から学んだのは、「ゲームをやめさせること」が目的ではなく、「子どもが安心して生活できること」が目的だということです。
マイクラがわが家を変えた話
娘がマインクラフト(マイクラ)にはまり始めたのは、不登校になってしばらく経った頃でした。最初は一人でひたすらやっていて、私は横目で見ながら「何が楽しいんだろう」と思っていました。
転機が来たのは、娘が「一緒にやってみる?」と声をかけてきたときです。

正直、最初は戸惑いました。ゲームに詳しくないし、下手だし、娘に「お母さん、そこじゃない!」と笑われるのが目に見えていて。

でも「一緒にやろう」と言ってくれたこと自体が、何ヶ月ぶりかの娘からの誘いだったんです。断れるわけがありませんでした。
そこから、わが家のマイクラ生活が始まりました。
共通の目標が生まれた
一緒にやり始めてすぐに、娘が「エンドラを倒したい」と言い出しました。エンドラとはマイクラのラスボス「エンダードラゴン」のこと。ゲームを最後まで「クリア」するために倒さなければならない、最強のボスです。
「エンダードラゴン討伐」という共通の目標ができたことで、親子の会話が一気に増えました。
- 「次は何の素材を集めればいい?」
- 「ネザーに行くの怖いから一緒に来て」
- 「この武器、エンチャントどうする?」
- 「エンドポータル、やっと見つけた!」

学校のこと、友達のこと、将来のこと——そういう話は一切なし。でも、毎日何かしら会話があった。それだけで、私には十分すぎるくらいでした。
ゲームの中で見えた娘の「力」
一緒にマイクラをやっていて気づいたのは、娘がゲームの中でとても「しっかりしている」ということでした。
素材の管理、拠点の設計、敵への対処法——全部娘が考えて、私に指示してくれました。「お母さん、ここに松明置いといて」「そのアイテムは後で使うから捨てないで」と、頼もしいリーダーになっていました。

学校に行けない、朝起きられない、と落ち込んでいた娘が、ゲームの世界では自信を持って動いている。その姿を見て、「この子の力は消えていない」と思えました。
エンドラ討伐までの道のり
エンダードラゴンを倒すには、かなりの準備が必要です。ネザーという危険な世界に行ってブレイズロッドを集め、エンダーパールを手に入れ、エンドポータルを見つけてエンドという別次元に乗り込む——その過程で何度も失敗し、何度もやり直しました。

私はゲームが得意じゃないので、何度も娘に助けてもらって。落下死したり、クリーパーに爆発されたり、娘に「お母さん、なんでそこ行くの!」って笑われながら進みました(笑)
そしてある夜、ついにエンダードラゴンを討伐しました。

「やったー!!」と娘が叫んで、二人でハイタッチ。ゲームのクリアを親子で喜んだだけなのに、「一緒に何かを達成した」という感覚が久しぶりに戻ってきた瞬間でした。
ゲームを「活用する」という視点
マイクラを一緒にやってみて分かったのは、ゲームには想像以上に多くの「学び」が詰まっているということです。
マイクラで育つ力
- 計画力・段取り力:何を先に作るか、どの素材を優先するかを考える
- 空間認識能力:3Dの世界でマップを把握し、建築する
- 問題解決力:敵に対処する方法、資源の集め方を自分で考える
- コミュニケーション力:一緒にやる相手と役割分担し、情報を共有する
- やり抜く力:長いプロセスを経てボスを倒すという達成体験

不登校の時間が「何もしていない時間」ではなく、「別の形で力を育てている時間」になり得ること、マイクラが教えてくれました。
親子の会話のきっかけになる
不登校の子どもとの会話で困るのは、「学校の話ができない」という点です。行けていないから聞けない、聞かれたくない——そのすれ違いが、親子の会話を減らします。
ゲームはその問題を解決してくれます。学校と全く関係ない話題で、自然に会話が生まれる。「今日何があった?」ではなく「今日どこまで進んだ?」という会話が、親子のつながりを保ってくれます。

ゲームの話ができる親子関係って、別の大切な話もできる関係につながっていくんですよね。

そうなんです。子どもが「話していいんだ」と安心できると、ゲーム以外の話もしてくれるようになってきます。
ゲームとの上手な付き合い方
「ゲームを活用しよう」と言っても、ルールが全くないのは不安、という方も多いと思います。わが家で意識していることをまとめます。
「禁止」より「一緒にやる」
ゲームを禁止や制限の対象にするより、親も参加することで自然とコントロールできます。「一緒にやろう」と声をかければ、親の目が届く状態でゲームができます。子どもも「一緒にやってもらえる」という嬉しさから、むしろ親との時間を大切にするようになります。
「今日の目標」を一緒に決める
「今日はネザーで素材を集める」「今日はここまで建築する」という小さな目標を一緒に決めると、際限なく続けることが減ります。目標を達成したら「今日はここまでにしよう」と切り上げやすくなります。
ゲームの話を否定しない
子どもがゲームの話をしてきたとき、「そんなことより勉強しなさい」と返してしまうと、子どもは心を閉じます。「そうなんだ、すごいじゃん」「それってどうやるの?」と興味を持って聞くだけで、子どもは「話していいんだ」と安心します。ゲームの話ができる親子関係が、別の大切な話もできる関係につながっていきます。
ゲームより心配すべきこと
ゲームの時間よりも、実は親が気にしてほしいのは以下の点です。
- 子どもが一言も話さない日が続いていないか
- 食事を取らない・睡眠が極端に乱れていないか
- ゲーム以外に何も楽しめていないか
- オンラインで知らない人と頻繁にやりとりしていないか

これらが当てはまる場合は、ゲームの問題というより子どもの心の状態に注目が必要なサインです。ゲームをやめさせることより、子どもの状態に寄り添うことを優先してください。
まとめ
不登校の子どものゲームは、「やめさせるべきもの」ではなく「活用できるもの」です。
- ゲームは傷ついた心の「安心できる居場所」になっている
- 取り上げると親子関係が悪化し、回復が遅れることがある
- 一緒にやることで、会話・つながり・達成感が生まれる
- マイクラのような目標型ゲームは、計画力・問題解決力など多くの力を育てる
- 「禁止」より「一緒にやる・目標を決める・話を聞く」が効果的
- ゲームの時間より、子どもの「孤立・食事・睡眠」の方が要注意サイン

エンドラ討伐の夜、娘と二人でハイタッチした瞬間を、私はずっと忘れないと思います。ゲームが親子をつないでくれた、大切な思い出です。
「ゲームばかりして」と悩んでいる方、一度だけ一緒にやってみてください。そこに、子どもとのつながりのヒントが隠れているかもしれません。

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